1
Fは、売買契約の買い主として、錯誤による意思表示をしたが、売主Gは、Fが勘違いをしていることをうすうす気付いていながら、あえて指摘しなかった。
このような場合に、Fは錯誤無効を主張できるか。Fに重過失がある場合とない場合に分けて考えなさい。
2
Gは、自己の所有する土地を売却しようと考えたが、土地上には賃借人Hがいて、結局土地を自由に使えないため、廉価で売却するほかないと考え、Iに売却した。ところが、買い受けたIは、Hの賃借権はすでに消滅していると考え、Hに対し土地の明渡を求めた。
裁判所は、Hの賃借権は消滅し、Hに占有権限はないと認定する一方で、賃借権があることを前提としたGI間の売買契約には要素の錯誤があり、かつ、Hに占有権限がないことをGは容易に知り得たので、Gに重大な過失があると認定した。
この場合、Hは、Iに対し、GI間の売買契約は錯誤無効であり、Iに所有権はないと主張できるか。Gに重大な過失がない場合はどうか。
3
XはAから有名画家の絵画を購入した。これは、Aが真作に間違いないというYの言葉を信じてYから購入した物だったが、贋作であることが判明した。そこで、XはAとの間の売買契約の錯誤無効を主張するとともに、Aは無資力であったため、YA間の売買契約もAに錯誤があり無効であると主張し、AのYに対する代金返還請求権を代位行使(民法423条)した。XによるAの錯誤無効の主張は認められるか。
【ヒント】