未来創造弁護士法人

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設問15 (12月11日検討予定)

裁判の中で、原告Xと被告Yが以下の通り主張をしています。

X、Yは、自分の主張が認められるためには、それぞれどのような事実を立証しなければならないでしょうか。裁判官としては、判決の結論に影響を与えない事実については立証の必要がないと考えるのですが、そうだとすると、どの事実が立証された結果、どのような効果が発生し、その効果を覆すためには反対当事者がどの事実を立証する必要があるかという観点から、整理検討しなさい。

【Xの言い分】

私は、友人であるYから、平成10年ころ、「自分の回転寿司店を出すから100万円を貸してくれ」と言われました。私はYと親しかったこと、その時はそれなりにお金の余裕があったことから、これに応じて平成10年10月1日に、私の銀行口座からYの銀行口座に100万円を送金しました。その数日後にYと食事をした時には、Yは私に「ありがとう。必ず店を成功させて、借りた金は返すし、相応の御礼をするから」といいましたが、友人同士であったことから、返済期限も定めていませんし、利息もはっきりは定めませんでした。借用書は作っていませんが、私の通帳を見れば、平成10年10月1日に、私の銀行口座からYの銀行口座に100万円を送金したことははっきりしています。

その後しばらくは、店もうまくいっていたようですが、平成15年ころになると、近隣に大手チェーンの競合回転寿司屋が出来たようで、経営が厳しくなってきたようです。そこで、その店の開店5周年の記念の日だったのでよく覚えているのですが、平成15年12月6日に5周年のお祝いに店に行った際に、Yに対して、「貸した金を早く返すように」と催促をしました。

この催促をしたからだと思いますが、平成15年12月10日にYが自宅を訪ねてきて、「この色紙は有名な人気アイドルAのサイン色紙なんだ。」と言って色紙を私に渡しました。私は特段Aのファンだったわけでもありませんが、今はYも金に困っていて、支払いを猶予してもらうためにこのような気遣いをしたのだと感じ、ひとまずその色紙は受けとりました。もちろん、この色紙を受け取ったからといって、100万円の支払いはもう必要ないと考えたわけではありません。

この裁判になって、Yがこの色紙を、100万円の弁済に代わるものとして渡したと主張していることが分かりましたので、私はこの色紙の価値を調査したところ、何と実際にはこれはAの直筆のサインではないことが分かり、Aのファンが勝手に作ったもので、見かけ上もAのサインとは相当違うものであることが判明しました。Yが色紙を私に渡すことによって代物弁済であると主張するのであれば、私は、Yの詐欺により、代物弁済を取り消す、あるいは、色紙がAの直筆サインであるという錯誤があるので、無効であると主張したいです。Yは、Aが人気アイドルなのだから、その時本物かどうかを調べればすぐに分かったはずだと主張しますが、自宅でYと二人で酒を飲んでいる最中に、本物であるかどうかなど調べる人はいないと思います。

また、Yは100万円の弁済義務の時効消滅も主張しているようですが、到底認められません。前述の通り、平成15年12月10日に私に色紙を渡したのは、弁済義務があることを前提に、支払いの猶予を求めるものですし、今回の訴訟を提起する直前の平成22年2月2日にも、裁判になることを察知したのか、Yから「お前は一番の親友だし、裁判などして争いたくない。悪いのは俺だけど、景気が良くなれば店の資金繰りも良くなるはずだから、もう少し時間をくれないか。」というメールが来ました。このメールは今でも残っています。このような態度を取っておきながら、消滅時効を主張することなど、到底認められないはずです。

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【Yの言い分】

私が、平成10年10月1日にXから100万円を送金してもらったことは間違いありません。しかし、これは、当時お金に余裕があったXが、親友である私の独立を応援してくれたもので、お金の貸し借りではありません。もちろん、私も店がうまくいけばお礼はしようと思っていましたが、結局、お礼が出来るほど店は成功しませんでした。

平成15年12月6日の店の5周年記念にXが来てくれましたが、その際に「貸した金を返せ」などという話は出ていません。5周年の記念パーティーはしましたが、正直店の資金繰りは苦しい状態でした。

私が平成15年12月10日にYの自宅を訪ねたのは、Xが店に来てくれたことに対する御礼をしたかったからです。100万円を出資というか、応援のために出してくれたのに、何も御礼が出来ずに来たことは心苦しかったので、その時私が持っていた唯一価値のありそうな「アイドルAのサイン色紙」をXに上げたのです。当時Aは人気絶頂で、サイン色紙をネットオークションなどで販売すれば、100万円以上の価値があるということでした。私はアイドルに関心がありませんでしたが、Xは結構好きだったようで、随分喜んでいたようです。

私はこれを渡したことで、心のつかえが下りた気がしました。100万円は借りたものではありませんが、やっとお礼が出来たと思いました。また、仮に100万円が借りたものであったとしても、その返済に代えてこの色紙を渡したものであって、これでお互いチャラになったというのは、当時の私とXの共通認識であったはずです。

また、この色紙は実際はAの直筆サインではなく、ファンが勝手にまねをして書いたものであったということですが、この色紙は、私が懇意にしているお客さんからいただいたものであり、私は当時からアイドルには詳しくなく、当然ながらXを騙そうなどというつもりは毛頭ありませんでした。また、錯誤無効も主張しているようですが、当時絶頂の人気を誇ったAですから、ちょっとネットなどで調べれば本人のサインかどうかは分かったはずであり、それを調べなかったXにも大きな落ち度があるはずです。

なお、仮に100万円が借りたものであったとしても、借りたのは平成10年10月1日ですから、10年の経過により消滅時効が完成していますので、私は消滅時効を主張します。

前述の通り、平成15年12月10日にAの色紙をXに渡したのは事実ですが、これは日頃の恩に対する感謝の気持ちを表したものであり、100万円の返済の猶予を求めたものではありません。

また、私はメールの送信履歴を残していませんのではっきりしないのですが、平成22年2月2日に、Xに対して「お前は一番の親友だし、裁判などして争いたくない。悪いのは俺だけど、景気が良くなれば店の資金繰りも良くなるはずだから、もう少し時間をくれないか。」というメールを送った記憶はなく、そのようなことはないと思います。それに、もしあったとしても、100万円を返すことを約束した証拠にはならないと思います。