こんにちは。
8日に引き続き本日も大雪ですね。
当事務所でお預かりしている司法修習生のN君に手続の選択について話をしました。依頼内容を実現するためにどの手続を選択するのか。複数の手続を知っていること、それを使いこなせることが弁護士に求められています。
例えば、労働者から、以下のような労働問題に関する依頼があったとします。
(a)解雇の有効性を争って職場復帰したい。
(b)セクハラ・パワハラをされた。止めさせたい、慰謝料を取りたい。
(c)会社が労災扱いにしてくれない。
(d)セクハラ・パワハラをした、横領をしたことを理由に解雇されたが、そのような事実はないので解雇の有効性を争いたい。ただし、職場復帰は希望しない。
(e)未払いの時間外手当をきっちり払って欲しい。
(f)未払いの時間外手当をある程度払って欲しい。
(g)会社の経営状態が悪化して給料の支払いが滞っているが、生活に困るので払って欲しい。
弁護士が思い浮かべる手続としては、
①労働審判、②民事保全(地位確認の仮処分と給料仮払いの仮処分)、③民事調停、④支払督促、⑤訴訟があると思います。
では、依頼事項を実現するためにはどの手続を選択すべきか。ここからが腕の見せ所なのですが、適切な手続を選択するためには、各手続がどのような内容なのか、実際にどのように運用されているのかを知っている必要があります。設例を当てはめてみると、次のようになります(複数を組み合わせて使うこともあります)。
①労働審判(単純な事案で話し合いの余地があり、フワッとした内容で良ければ早期解決が期待できる)
・・・(f)
②民事保全(とりあえず地位を確保できる)・・・(a)
③民事調停(労働問題の専門家を必要としない話し合いに)・・・(g)
④支払督促(簡単な手続で債務名義を確保できる)・・・(g)
⑤訴訟(複雑な事実認定ができ、きちっとした解決ができる)・・・(b)、(c)、(d)、(e)
労働事件を例に挙げましたが、その他の事件でもその事件に応じた複数の手続があるはずです。
日々スキルを磨いています!
(兄弟子)