今回は事件関係者のプライバシー保護についてです。
一部の事件では、被害者のプライバシーを保護するため、被害者の氏名を法廷で明かさずに裁判をすることができます。これを被害者特定事項の秘匿と言います。
この場合、Aさん、Bさん、Cさん…というようにアルファベットの呼称が使われます。
プライバシー保護の制度は、被害者特定事項の秘匿に限りません。
たとえば、証人が事件関係者や傍聴人の目の前では萎縮してしまい証言できないというケースに備えて、証人を保護する制度が用意されています。
私が担当した事件では、証人は裁判所内の別室にいて、法廷と別室をビデオカメラで中継しながら証言をしていました(ビデオリンク方式)。
ほかにも、モニター画面の向きを変えて傍聴席から個人情報が見えないようにする、法廷で記録を開くときは横にファイルを立てて衝立て代わりにする等、法律には書いてありませんがそれぞれが考えて実践していることがあります。
いつもは、事件を受任すると、事務局が依頼者のお名前を書いたテプラを貼って記録整理用のファイルを作ってくれます。ですが今回は、事務局も事情を察してくれ、テプラ無しのファイルを作ってくれました。
(新弟子)