未来創造弁護士法人

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【第90回 SUC三谷会】 弁護士業務と税務 その2

こんにちは。岩﨑です。

SUC三谷会「弁護士業務と税務」その2です。

今回は、前回の勉強会を踏まえ、特殊な譲渡所得課税の問題について研究しました。

日々の仕事でイメージしている「民法的な」お金やモノの動きと「税法的な」資産の移転の考え方には違いがあることがわかりました。和解の場面などでは特に気を付けなければいけませんね。

 

1 代物弁済

不動産等の代物弁済により債務を消滅させた場合、債務者は債務を弁済したにすぎないように思えるが、税法上は資産の譲渡として課税対象になり得るので注意が必要。ただし、資力喪失時の代物弁済の場合は非課税となるときがあるので要件を確認する。

2 交換

交換も資産の譲渡なので、売買と同様、譲渡益について課税されるが、固定資産の交換には特例があるので要件を確認する。交換差金の支払があるときの譲渡収入は、交換取得財産の時価に交換差金を加えて計算する。

3 共有物分割

現物分割の場合、持分割合に応じた分割であれば課税関係は生じないが、持分割合と異なる分割であれば贈与税が問題となる。

代金分割の場合、共有物の譲渡人(共有者)に、共有物の譲受人(第三者)との関係で譲渡所得が発生しない場合であっても、共有者間内部で譲渡代金の分配につき共有持分割合と異なる分配をしたときは贈与や一時所得等の問題が生じる。

価格賠償の場合、持分を買い取る者には課税関係は生じないが、持分を譲渡する者には譲渡課税がなされる。

4 借地・借家の設定・返還

借地権の設定時に権利金(更地価格の2分の1を超える価額)の授受がなされた場合、権利金を対価として「借地権」の譲渡がなされたものとして、地主に譲渡所得課税がなされる。借地権の返還時に立退料の授受がなされた場合、借地人は立退料を対価として「借地権」を譲渡したものとして借地人に譲渡所得課税がなされる。権利金を支払っていた場合は、立退料から権利金を控除して取得費を計算する。

5 譲渡担保

譲渡担保の実質は担保であり形式的に所有権移転をしているにすぎないので、担保権設定時点には課税されず、債務不履行により担保権が実行された時点で譲渡があったものとして課税される。譲渡担保の趣旨を明らかにするため、通達に定める要件を具備しておくことが大切。

6 財産分与

給付者に対する課税は、財産分与が金銭であれば課税関係は生じないが、金銭以外であれば譲渡所得がなされる。居住用財産の譲渡における3000万円の特別控除、長期譲渡所得課税の特例要件を確認する。

給付を受けた者に対する課税は、原則贈与税は課税されないが、財産分与として過当な部分は課税対象になる。給付を受けた者が後に財産を譲渡した場合の譲渡所得課税においては、取得額は財産分与を受けた時点の価額で計算する。

7 限定承認

限定承認の場合、相続開始時点で被相続人の資産の増加益を清算するものとして扱い、被相続人に譲渡所得税が課税される。

8 譲渡と和解の留意点

和解の場合、代物弁済、交換、共有物分割など資産の権利移転が伴う場合には、課税リスクに注意する。和解をする場合には、権利確定主義に従い、いつ(どの年に)課税されるかを確認し、納税資金が準備できるようにしておく。