未来創造弁護士法人

横浜(本店)と藤沢(支店)にある法律事務所で日々奮闘する弁護士とスタッフが、気の向いたときや機嫌のいいときに更新する事務所日記です。

【未来創造弁護士法人 3つのモットー】

1 依頼しなくてもOK 気軽に相談していただけます!
2 スピードは価値 早期解決を最優先します!
3 お客様の希望をじっくり聞きます!専門家の意見をしっかり伝えます!


【第92回 SUC三谷会】 平成29年度重要判例研究

こんにちは、岩﨑です。

この時期は毎年おなじみの重要判例研究です。

発表担当は長門先生です。実務で知っておきたい判例をピックアップして解説いただきました!

 

・労働法1 求人票記載の労働条件と労働協約・求人票記載の労働条件変更の効力

京都地裁平成29年3月30日判決)

求人票記載の労働条件は、原則としてこよう契約の内容となる。

期間の定めや定年制の有無・年齢について、求人票と異なる内容の労働条件通知書を交付してその裏面に署名押印させる行為は、労働契約の変更としてその有効性を判断すべきであり、労働者の自由な意思に基づいてされたものと認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するかという観点から判断されるべきである。

 

・労働法4 「試し出勤」による復職の有無と期間満了退職・解雇の効力

東京地裁平成28年9月28日判決)

休職原因の消滅については労働者が主張立証責任を負う。

休職原因である「復職不能」事由の消滅については、相当の期間内に作業遂行能力が通常の業務を遂行できる程度に回復すると見込める場合を含めて判断すべき。

 

・労働法6 コンビニ店長の精神障害に起因する自殺と業務起因性

(東京高裁平成28年9月1日)

退職予定日が決まっていた事実関係の下でコンビニ店長が自殺した事例について、厚生労働省の認定基準をもとに、長時間労働、連続勤務、ノルマの各要素から精神障害の発病に業務起因性を認め、同障害の発病による影響下で自殺に至ったとして労災を認めた事例。

 

・労働法9 手当・休暇格差の労契法20条違反性

東京地裁平成29年9月14日判決)

労契法20条は、労働条件の相違が合理的であることを要求するものではなく、不合理であると評価できるかという観点から判断すべき。

各種手当・休暇格差が労契約法20条に違反するかどうかは、当該手当・休暇の趣旨によって個別的に判断する。

 

民法4 クロレラチラシ配付差し止め請求事件

最高裁平成29年1月24日第三小法廷判決)

消費者契約法12条にいう「勧誘」とは、不特定多数の消費者に向けて働きかけを行うときは、当該働きかけが個別の消費者の意思形成に直接影響を与えることもあり得るから、チラシ配付が「勧誘」に当たらないとはいえない。

なお、結論としてはチラシ配布が既に終了していたことを理由に、差止請求を棄却した原審を維持したので、上記判示は傍論。

 

民法9 インターネット検索事業の意義とプライバシー

最高裁平成29年1月31日第三小法廷決定)

削除請求の可否の判断にあたっては、当該事実を公表されない法的利益と当該URL等情報を検索結果として提供する理由に関する諸事情を比較衡量して判断すべきであり、その結果、当該事実を公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、検索事業者に対し削除を求めることができる。

 

民法10 離婚時の親権者指定に際して、父母の面会交流に関する意向をどのように考慮すべきか

最高裁平成29年7月12日第二小法廷決定)

父母の離婚後の非監護親との面会交流だけで子の健全な成育や子の利益が確保されるわけではないから、父母の面会交流についての意向だけで親権者を定めることは相当でなく、また、父母の面会交流についての意向が他の諸事情より重要性が高いともいえない。

年間100回の面会交流が必ずしも子の健全な成育にとって利益になるとは限らない。

 

民法12 普通預金債権・定期預金債権は遺産分割の対象となるか

最高裁平成28年12月19日大法廷決定、最高裁平成29年4月6日第一小法廷判決)

預貯金債権は当然に分割されず、遺産分割の対象になる(判例変更)

 

・刑法3 行為者の性的意図と強制わいせつ罪の成立要件

最高裁平成29年11月29日大法廷判決)

行為者の性的意図は強制わいせつ罪の成立要件ではない(判例変更)

 

憲法10 GPS捜査とプライバシー、刑訴法1 GPS捜査の法的性質

最高裁平成29年3月15日大法廷判決)

個人のプライバシーの侵害を可能とする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であるGPS捜査は、個人の意思を制圧して憲法の保障する重要な法的利益を侵害するものとsちえ、刑訴法上、特別の根拠規定がなければ許容されない強制の処分にあたる。