こんにちは、岩﨑です。
今回のSUCは、「相続分野に関する連続講座その1」の続きを研究しました。
(相続分野は奥が深いので、日弁連研修では1回分の講義であっても、SUCでは回を跨いで時間をかけてじっくり研究するほうが良いのです。)
今日のテーマは、実務上問題となることの多い「相続発生後に生じた財産」「遺産の調査方法」、「遺産の評価」、「遺産の分割」でした。
「相続発生後に生じた財産」としては、遺産の代償財産、遺産から生じた果実、遺産の管理費・葬儀費用・香典、生命保険金・死亡退職金などが挙げられます。これらは、基本的には遺産とは別個の財産であるものの、相続人の合意があれば遺産分割協議の対象となり得る、という考え方で良いようです。相続人の間で遺産分割協議の対象とする旨の合意を成立させるための手段として、遺産分割調停を利用するという発想を持つと良いでしょう。
「遺産の評価」については、理論的には、①各相続人の法定相続分を特別受益や寄与分によって修正して具体的相続分を算定する段階(相続開始時)と、②具体的相続分に従って遺産を現実に分配する段階(遺産分割時)を区別する必要があることを確認しました。
「遺産の分割」については、現物分割が法律上の原則ではあるものの、実態に応じて代償分割や換価分割など柔軟な解決方法を検討すべきであることを学びました。不動産の代償分割においては、税務上の考慮事項として、不動産を取得した相続人が後に不動産を譲渡した際の譲渡所得税を計算するときに、他の相続人に支払った代償金は取得費に算入できないという点は覚えておくべきポイントだと思います。売却が見込まれる不動産を取得する場合には、この点を踏まえた遺産評価を行うと公平を図れるのではないでしょうか。