未来創造弁護士法人

横浜(本店)と藤沢(支店)にある法律事務所で日々奮闘する弁護士とスタッフが、気の向いたときや機嫌のいいときに更新する事務所日記です。

【未来創造弁護士法人 3つのモットー】

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2 スピードは価値 早期解決を最優先します!
3 お客様の希望をじっくり聞きます!専門家の意見をしっかり伝えます!


【第11回SUC三谷会】

第11回SUC三谷会。 会社のM&Aで商号や屋号を続用した場合に、それぞれ譲り受け会社がどのような責任を負うかという問題を検討し、議論が白熱しました。 判例の立場からすると、債権者の保護が厚すぎ、譲り受け会社に過当な負担を負わせる危険があるような印象を受けました。 勉強会終了後、普段は事務所で缶ビールなのですが、今回は暑気払いということで、近くの和食屋さんに行きました。 勉強と懇親を車輪の両軸に、末永く会を続けていきたいと思っています。

SUC三谷会 平成20年度重判 平成23年8月4日

担当 弁護士 成 田 信 生

憲法4 国籍法違憲大法廷判決 (最高裁平成20年6月4日:憲法14条、国籍法3条1項) 【事案】原告は、日本国籍を有する父親とフィリピン国籍を有する母親との間で、日本で出生し、父親から認知を受けた。原告は、国籍取得届を提出したが、国籍取得条件を具備していないとして拒否されたため、国を相手取り、国籍を有することの確認訴訟を提起。 【判旨】今日において、父母の婚姻があったときに限って日本国籍の取得を認める国籍法3条1項は、合理的理由がなく、日本人父から生後認知された非嫡出子は、著しい差別的扱いをうけているので、国籍法3条1項は、憲法14条1項に反する(その後、立法解決)。

民法1 原因関係を欠く振込みに係る預金の払戻請求と権利濫用 (最高裁平成20年10月10日:1条) 【事案】原告は、被告銀行に本件普通預金を有し、原告の夫であるZはA銀行に定期預金を有していたところ、これらの預金口座の通帳と届出印を盗んだBらは、被告銀行支店において原告の預金口座から払戻しを受けた(払戻Ⅰ)。Bらは、A銀行において、Zの定期預金を解約するとともに、本件普通預金口座に振込みをし、被告銀行から払い戻しを受けた(払戻Ⅱ)。原告が盗難届を出したのは、払戻を受けた後であった。原告が被告に対し払戻を請求(払戻Ⅱについて原審は権利の濫用に該当するとして請求棄却をしこの点について上告)。 【判旨】振込依頼人と受取人との間に振込の原因となる法律関係が存在しない場合における受取人による当該振込みにかかる預金の払戻し請求は、詐欺罪等の犯行の一環を成す場合であるなど、これを認めることが著しく正義に反するような特段の事情のあるときは、権利の濫用に当たるとしても、受取人が振込依頼者に対して、不当利得返還義務を負担しているというだけでは、権利の濫用に当たるということはできない。

民法4 賃料自動改定特約のある建物の賃料減額請求の当否等の判断方法 (最高裁平成20年2月29日:借地借家法32条) 【事案】原告は、被告との間で、建物賃貸借契約を締結した。約定賃料は、平成4年12月1日から平成7年11月末日まで360万円、平成7年12月1日から平成9年11月末日まで369万円、平成9年12月1日から平成14年11月末日まで441万円、平成14年12月1日から平成19年11月末日まで451万円とした。 原告は、平成9年6月27日ころ、同年7月1日をもって賃料を減額する旨の意思表示をし、平成13年11月26日、同年12月1日をもって賃料を減額する旨の意思表示をした。その後、原告が、被告に対し、賃料確認請求。 原審は、増減額の対象となる賃料額の授受が開始されたときから同請求時までに発生した事情に限定されるべきとして、平成7年12月1日から平成9年6月27日まで、及び、平成9年12月1日から平成13年11月26日までに発生した事情を考慮すべきと判断。 【判旨】賃料自動改定特約のある建物賃貸借契約の賃借人から賃料減額請求が成された場合には、同契約締結時の純賃料を基にして、同賃料が合意された日から減額請求の日までの間の経済事情の変動等が考慮されなければならない。

民法5 借地と他の土地にまたがる建物についての借地権設定者による譲受け申立 (最高裁平成19年12月4日:借地借家法19、20条) 【事案】A所有の土地と被告所有の本件土地とは隣接しており、BはA所有の土地と被告から本件土地を賃借し、Bは本件建物を有していた。B所有の本件建物につき、不動産競売がなされ原告が買い受けた。原告が、被告に対し、本件借地権の譲渡につき承諾を求めたが、被告がこれに応じないので、原告は被告に対し、承諾に代わる許可の裁判(借地借家法20条1項)を求め、被告は、本件建物及び本件借地権を自ら譲り受ける旨の裁判(借地借家法20条2項、19条3項)を求めた。 【判旨】賃貸借の目的である土地と他の建物との間にまたがって建築されている建物について、借地権設定者が、19条第3項に基づき、自ら当該建物及び賃借権の譲渡を受ける旨を申し立てるのは不適法である。

民法8 チーム医療における説明義務 (最高裁平成20年4月24日:709条) 【事案】Aは、平成11年9月にB大学病院の心臓外科に入院し、その当時、被告はB大学病院の心臓外科室の教授で、Cは同外科助手の医師であった。本件では、CがAの主治医となり、Aや原告に対し、手術の必要性、内容、危険性等につき説明をし、被告は手術についての説明をしなかった。 手術では、当初はCが執刀し、その後は被告が術者となったが、Aは結局死亡した。そこで、Aの配偶者ら原告は、被告に対し手術の手技上における過失、説明義務違反を理由とした不法行為に基づく損害賠償請求をした。 【判旨】チーム医療の総責任者は、条理上、患者や家族に対して、手術の必要性、内容、危険等についての説明が十分に行われるよう配慮すべき義務を有するが、手術に至るまで患者の治療にあたってきた主治医が上記説明をするの十分な知識、経験を有している場合には、主治医に説明を委ね、自らは必要に応じて主治医を指導、監督するにとどめることも許されるものと解され、主治医の説明が不十分なものであったとしても、主治医が説明をするのに十分な知識、経験を有し、チーム医療の総責任者が必要に応じて、当該主治医を指導監督していた場合には、同責任者は説明義務違反の不法行為責任は負わない。

民法12 遺留分権者が価額弁償請求権を取得する時期および遅延損害金の起算日 (最高裁平成20年1月24日:1041条) 【事案】被相続人Aは、被告ら及びBにそれぞれ相続させる旨の遺言をしていた。そこで、実子及び養子である原告らは、被告らに対して遺留分減殺請求権を行使し、遺留分相当部分の返還を求めた。 原告らは、平成8年11月に本訴を提起し、遺留分減殺を原因とする不動産の持分移転登記手続等を求めたところ、被告らは、第一審弁論準備手続において民法1041条により価額弁償する旨の意思表示をした。これに対し、原告らは、平成16年7月16日の口頭弁論期日において、訴えを変更して価額弁償請求権に基づく金員支払を求めた。 原審は、裁判所が受遺者に対して、価額を定めて支払を命じることによってはじめて受遺者に対する価額弁償請求権を取得するものとし、判決確定の日の翌日から支払済みまでの限度で遅延損害金は認めれられると判断。 【判旨】遺留分減殺請求を受けた受遺者が価額弁償をする旨の意思表示をし、遺留分権利者が受遺者に対して価額弁償請求権を行使する旨の意思表示をした場合には、その時点において、当該遺留分権者は、遺留分減殺によって取得した目的物の所有権及び所有権に基づく現物返還請求権をさかのぼって失い、これに代わる価額弁償請求権確定的に取得する。価額弁償請求に係る遅延損害金の起算日は、受遺者に対し弁償金の支払を請求した日の翌日になる。

商法5 取締役の会社に対する損害賠償責任の消滅時効最高裁平成20年1月28日:167条) 【事案】被告は昭和58年4月1日から平成元年3月31日までA銀行の代表取締役であり、A銀行は、平成元年1月から2月にかけてBに融資を行ったが、平成4年にBは事実上破綻に陥ったため、Aによる融資残高の回収が困難になった。 A銀行から被告らに対する損害賠償請求権を譲り受けた原告は、平成10年12月15日、融資によりAが被った損害につき、その決定に関与した被告らに対して、善管注意義務違反、忠実義務違反に基づく損害賠償請求を提起した。 【判旨】商法266条1項5号(旧法)に基づく会社の取締役に対する損害賠償請求権の消滅時効期間は、522条所定の5年ではなく、民法167条1項により10年と解すべきである。

民訴3 文書提出義務-職業の秘密Ⅰ (最高裁平成19年12月11日:220条四号ハ) 【事案】Aの相続人である申立人らは、共同相続人であるBに対して、遺留分減殺請求訴訟を提起し、その中で、BがAの生前にその預金口座から払戻をうけたのは特別受益または不当利得等に当たると主張していた。 そこで、相手方に対して、Bと相手方との間の取引履歴が記載された取引明細表を提出するように求めて、本件文書提出命令を申し立てた。原審は、申立を棄却。 【判旨】顧客の取引明細書について、金融機関がこれにつき職業の秘密として保護に値する独自の履歴を有する場合は別として、提出義務が認められる。

民訴4 文書提出義務-職業の秘密Ⅱ (最高裁平成20年11月25日:220条四号ハ) 【事案】本案の事件は、申立人が、取引先であるAから売掛金の回収が不能になったため、Aのメインバンクである相手方に対して、Aの経営状態について正確な情報を提供すべき注意義務を怠ったとして、不法行為に基づく損害賠償請求を求めたものである。 申立人は、相手方に対して、Aの経営状態の把握、同社に対する貸出金の管理及び同社の債務者区分の決定等を行う目的で相手方が作成し、保管していた自己査定資料一式について文書提出命令を申し立てたところ、220条四号ニには該当しないと判断され、同号ハ所定の文書に該当するかの審理のために原審に差し戻しされた。 【判旨】金融機関の顧客自身が開示義務を負う情報については、金融機関の守秘義務が職業の秘密の根拠とならず、金融機関の職業の秘密に当たる情報についても証拠としての必要性などとの比較考量の結果として保護に値する秘密ではない。

民訴5 文書提出義務-刑事関係文書 (最高裁平成19年12月12日:220条三号、刑訴47条) 【事案】Aに対する強姦被疑事件で逮捕されたX1及び同人が代表者を務めるX2が逮捕後になされた勾留請求の違法等を主張して、国に対して、国賠請求をした。 本件事件の争点は、勾留請求時に罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があったかどうかで、Xらは、Aの告訴状及び供述調書等の提出を求めた。 【判旨】当該文書が法律関係文書に該当する場合であって、その保管者が提出を拒否したことが、民事訴訟における当該文書を取り調べることの必要性の有無、程度、当該文書が開示されることによる弊害の発生のおそれの有無等の諸般の事情に照らし、その裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用するものであると認められるときは、裁判所は当該文書の提出を命ずることができる。 本件では、不起訴事件の記録提出を拒否したことについて裁量権の範囲の逸脱または濫用である。

民訴7 一部請求に係る判決の既判力 (最高裁平成20年7月10日:114条) 【事案】 ①XらはYに対して、土地所有権に基づいて、本件樹木の撤去および本件土地の明渡しを求める訴えを提起した。本件樹木の所有権は土地への附合によりXらに帰属したと判断され、土地明渡し請求権を認容し、樹木撤去請求を棄却する判決がなされ、確定した。 ②Yは附合に係る償金請求を被保全権利として、本件樹木についてXらを債務者とする仮差押命令を得て、その執行をした。 ③YはXらに対して、償金の支払い求める訴えを提起し(前事件本訴)、Xらは、仮差押命令の申立は違法であるとして、不法行為に基づく損害賠償として、本案の起訴命令の申立および前事件応訴に要した弁護士費用相当額と遅延損害金の支払いを求める反訴を提起した(前事件反訴)。控訴審は、Yの本訴請求を棄却し、Xらの反訴請求については、弁護士費用相当額の一部と遅延損害金の支払いを求める限度で請求を認容した。 ④Xらは、Yに対して、仮差押執行により、本件土地を更地にすることができず、そのために買収金が本来支払われるべき時期より遅れて支払われることになったとして、本件樹木についての仮差押命令とその執行について、不法行為に基づく遅延損害金相当額の損害の賠償を求めた(本件訴訟)。本件訴訟の提起後、前事件の控訴審判決が上告棄却により確定し、仮差押命令と仮差押執行がXらの申立により取り消された。 原審は、前事件反訴の損害賠償請求と本件訴訟の損害賠償請求は、いずれも違法な保全処分に基づく一個の債権の一部を構成するところ、一部であることの明示をしていたとは認め難く、前事件の確定判決の既判力により拘束されると判示。 【判旨】1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えが提起された場合は、訴訟物となるのは債権の一部の存否のみであって、一部請求についての確定判決の既判力は、残部の請求に及ばない。

民訴9 破産管財人源泉徴収義務 (大阪高裁平成20年4月25日:破産法78条) 【事案】破産管財人Xは、破産者Aの元従業員らに対して配当した退職金(破産債権)およびX個人に対して支払った管財人報酬(財団債権)について、いずれも源泉徴収をしなかったところ、Aに対して、納税告知処分および不納付加算税賦課決定処分をした。 そこで、Xは国に対し、上記処分に係る納税義務の不存在訴訟を提起した。 【判旨】破産者は、破産債権に対する配当および財産債権に対する弁済について、所得税法の規定に従い、当該弁済および配当に係る所得税を徴収し納付する義務を負い、その徴収および納付は破産管財人の権限に属する。

労働法4 男女別コース制の下での男女賃金格差の合理性 (東京高裁平成20年1月31日:労基法4条) 【事案】男女別コース制を採用していたYの従業員Xらは事務職女性と同期の一般職男性との間の賃金格差は、違法な男女差別によるものであると主張して、同年齢の一般職の標準本俸・退職金と現に受領していた本俸・退職金の差額の支払を求めた。 【判旨】勤続期間が同年齢の男女社員間や職務内容等に同質性があり相互に職務を引き継いでいる男女社員間において相当な賃金格差がある場合、その格差は、それが生じたことについて、合理的な理由がない限り、性の違いにより生じたものと推認できる。 賃金格差の合理性を判断するには、男女間の賃金格差の程度、女性社員が実際に行った仕事の内容、専門性の程度、その成果、男女間の賃金格差を規制する法律の状況、一般企業、国民間における男女差別、男女の均等な機会および待遇の確保を図ることについての意識の変化など、諸般事情を考慮して判断。

労働法5 キャディ職の有期労働契約への変更の可否 (東京高裁平成20年3月25日)    【事案】Yが経営するゴルフ場でキャディ職にあったXらに対し、Y側は、経営難から、雇用期間を1年間とし、賃金を変更するなどの契約書を手渡し、Xらは署名押印した。Y側は、その後新たな賃金体系を記載した書面や新就業規則および新給与規程を掲示し、Xらは解約された。 そこで、Xらは、Yによる労働条件の不利益変更はXらの承諾を欠き無効であるとして、期間の定めのない労働契約上の地位にあることの確認および差額賃金の支払や解雇は無効であり退職の意思表示もないとして、雇用契約上の地位確認および賃金の支払などを求めた。 【判旨】YとXらキャディとの間で、新賃金規程の内容に沿った口頭による労働条件の変更の合意は成立していない。 新就業規則においては、契約更新に関する定めが設けられておらず、雇用契約上の労働者の地位が一般かつ制度として保証されているとはいえず、雇用契約期間の定めがあることは、本件においては、労働者にとって相当程度不利な内容の変更であると言わざるを得ない。 新給与規程は、Xらとの関係において、雇用契約上の法的規範としての効力がないと言わざるを得ない。よって、旧給与規程に基づく賃金の請求権がある。