未来創造弁護士法人

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【第3回SUC三谷会】 平成12年判例研究

第3回の勉強会は、平成12年の判例研究。 年金の逸失利益性や、離婚前の子供との面接交渉など、日常業務に関連する問題が数多く取り上げられました。

SUC三谷会 重判平成12年版

平成22年12月9日 担当  波田野 馨子

民法2 転貸賃料債権に対する物上代位権行使の可否(最高裁平成12年4月14日第二小法定決定) 抵当権者は,抵当不動産の賃借人を所有者と同視することを相当とする場合を除き,右賃借人が取得すべき転貸賃料債権について物上代位権を行使できない。

民法3 離婚に伴う財産分与(金銭給付合意)と詐害行為取消の範囲(最高裁平成12年3月9日第一小法定判決) 離婚に伴う財産分与として金銭を給付する旨の合意は,その額が民法768条3項の規定の趣旨に反して不相当に過大であり,財産分与に仮託された財産処分と認め得る特段の事情があるときは,不相当に過大な部分について,その限度において詐害行為として取り消されるべきである。

民法4 集合債権譲渡予約と目的債権の特定性(最高裁平成12年4月21日第二小法廷判決) 債権譲渡の予約にあっては,予約完結時において譲渡の目的となるべき債権を譲渡人が有する他の債権から識別することができる程度に特定されていれば足り,この理は,将来発生すべき債権が譲渡予約の目的とされている場合でも変わるものではない。

民法6 医療行為に過失ある場合における因果関係の証明と不法行為の正否(最高裁平成12年9月22日第二小法廷判決) 医療行為と患者の死亡との間の因果関係の存在は証明されないけれども,医療水準にかなった医療が行われていたならば患者がその死亡の時点においてなお生存していた相当程度の可能性の存在が証明されるときは,医師は,患者に対し,不法行為による損害を賠償する責任を負う。けだし,生命を維持することは人にとって最も基本的な利益であって,右の可能性は法によって保護されるべき利益であり,医師が過失により医療水準にかなった医療を行わないことによって患者の法益が侵害されたものといえるからである。

民法7 長時間残業による過労自殺使用者責任最高裁平成12年3月24日第二小法廷判決) ある業務に従事する特定の労働者の性格が同種の業務に従事する労働者の個性の多様さとして通常想定される範囲を外れるものでない場合には,その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等が業務の過重負担に起因して当該労働者に生じた損害の発生又は拡大に寄与したとしても,そのような事態は使用者として予想すべきものといえ,このような場合,裁判所は,業務の負担が過重であることを原因とする損害賠償請求において使用者の賠償すべき額を決定するにあたり,その性格及びこれに基づく業務遂行の態様等を心因的要因として斟酌することはできない。

民法8 将来受給し得た遺族厚生年金の逸失利益性(最高裁平成12年11月14日第三小法廷判決) 遺族厚生年金は,受給権者自身の生存中その生活を安定させる必要を考慮して支給するものであるから,他人の不法行為により死亡した者が生存していたならば将来受給し得たであろう右年金は,不法行為による損害としての逸失利益にあたらない。 ※参考(他の公的年金逸失利益性) ・国民年金法に基づく障害基礎年金と厚生年金保険法に基づく障害更生年金につき肯定(最高裁平成11年10月22日判決) (理由)保険料が拠出されたことに基づく給付としての性格を有している。 ・軍人恩給としての扶助料につき否定(最高裁平成12年11月14日判決) (理由)扶助料は,もっぱら受給権者自身の生計の維持を目的としたものである。 全額国庫負担の社会保障的性質が強い。 存続が必ずしも確実なものではない。

民法9 婚姻関係が破綻して父母が別居状態にある場合に子と同居していない親と子の面接交渉について家庭裁判所が相当な処分を命じることの可否(最高裁平成12年5月1日第一小法廷決定) 父母の婚姻が破綻して別居状態にある場合に,家庭裁判所は,民法766条を類推適用して,子と同居していない親と子の面接交渉について相当な処分を命ずることができる。

民法10 死亡による内縁関係の解消と民法768条の類推適用(最高裁平成12年3月10日第一小法廷決定) 内縁の夫婦の離別による内縁解消の場合に,財産分与の規定を類推適用することは承認し得るとしても,一方の死亡により内縁関係が解消した場合に,民法768条の規定を類推適用することはできない。

民法12 遺留分減殺の対象とされた贈与等の目的である各個の財産について価格弁償をすることの可否(最高裁平成12年7月11日第三小法廷判決) 受贈者又は受遺者は,1041条1項に基づき,減殺された贈与又は遺贈の目的たる各個の財産について,価格を弁償して,その返還義務を免れることができる。

商法2 野村證券損失補填株主代表訴訟事件(最高裁平成12年7月7日第二小法廷判決) 商法266条一項5号(会社法355条)の法令には,善管注意義務違反,忠実義務違反の一般規定のほか,商法その他の法令中の会社を名宛人とし,会社がその業務を行うに際して遵守すべきすべての規定が含まれ,取締役が会社をして右規定に違反させる行為をしたときは,取締役の右行為が一般規定の定める義務に違反することになるか否かを問うまでもなく,法令に違反する行為をしたときに該当する。 証券会社が,一部の顧客に対し,有価証券の売買等の取引により生じた損失を補填する行為は,証券業界における正常な商慣習に照らして不当な利益の供与というべきであるから,証券会社が顧客との取引関係の維持拡大を目的として,顧客に対し,損失補填を実施したことは,独占禁止法19条に違反するものと解すべきであり,独占禁止法19条は,事業者たる会社がその業務を行うに際して遵守すべき規定にほかならないから,商法266条1項5号にいう法令に含まれるが,取締役が独占禁止法に違反することの認識を欠き,それにつき過失があったとすることはできないとして,取締役の損害賠償責任を否定。

商法3 海外支店における従業員の不正証券取引と銀行の取締役の責任(大阪地裁平成12年9月20日第10民事部判決) (1)取締役は,取締役会の構成員として,また代表取締役又は業務担当取締役としてリスク管理体制を構築すべき義務を負い,さらに,代表取締役及び業務担当取締役がリスク管理体制を構築すべき義務を履行しているか否かを監視する義務を負う。・・どのような内容のリスク管理体制を整備すべきかは経営判断の問題である。 (2)商法266条1項5号は,取締役に対し,我が国の法令に遵うことを求めているだけでなく,外国に支店,駐在事務所棟の拠点などを設けるなどして事業を海外に展開するに当たっては,その国の法令に遵うこともまた求めている。

商法6 保有者に対する損害賠償請求権が第三者に転付された場合と被害者の直接請求権(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決) 損害賠償請求権が第三者に転付された後においては,転付された債権額の限度において被害者は自賠法16条1項に基づく直接請求権を失う。けだし,自賠責保険は責任保険であり,自賠法16条1項に基づく直接請求権は被害者の損害賠償請求権の行使を円滑かつ確実なものとするための補助的手段であるので,被害者が加害者に対して損害賠償請求権を有していることを前提として認められると解すべきだからである。

民訴3 証言拒絶事由(民訴法197条1項3号)としての「技術又は職業の秘密」の意義(最高裁平成12年3月10日第一小法廷決定) (1)民訴法197条1項3号所定の「技術又は職業の秘密」とは,その事項が公開されると,当該技術の有する社会的価値が下落しこれによる活動が困難になるもの又は当該職業に深刻な影響を与え以後その遂行が困難になるものをいうと解するのが相当である。・・本件文書はこれにあたらない。 (2)ある文書がその作成目的,記載内容,これを現在の所持者が所持するに至るまでの経緯,その他の事情から判断して,専ら内部の者の利用に供する目的で作成され,外部の者に開示することが予定されていない文書であって,文書の開示によって所持者の側に看過し難い不利益が生ずるおそれが在る場合には,特段の事情が無い限り,220条4号ハ(ニ)所定の文書に該当するが,文書の具体的内容に照らし,開示によって看過し難い不利益が生ずるおそれがあるかを具体的に評価すべきであって,外部の者に見せることを全く予定せずに作成された文書であることから直ちに本条ハ所定の文書に該当するとはいえない。

民訴4 信用金庫の貸出稟議書を対象とする文書提出命令の拒否(最高裁平成12年12月14日第一小法廷決定) 信用金庫の貸出稟議書は,文書提出命令の申立人が,その対象たる貸出稟議書の利用関係において,所持者である信用金庫と同一視出来る特段の事情が無い限り,本条4号ハ(ニ)の文書に当たる。

民訴5 和解について授権を受けた訴訟代理人弁護士の和解権限の範囲(最高裁平成12年3月24日第二小法廷判決) (本件事実関係によれば)本件請求権と前訴の各請求権は本件保養所の利用に関し同一当社間で生じた一連の紛争に起因するもので,前訴事件につき和解を授権されていた訴訟代理人弁護士には,本件請求権についての具体的委任がなくとも,これを含む和解の締結権限が与えられていたと解すべきである。

労働2 始終業時の作業服の着脱等と労働基準法の労働事件(最高裁平成12年3月9日第一小法廷判決) 本条の労働時間とは,労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい,それは,労働者の行為が使用者の指揮命令下におかれたものと評価できるか否かにより客観的に定まるものであって,労働契約,就業規則労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではない。 労働者が,就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ,またはこれを余儀なくされたときは,当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても,特段の事情のない限り,使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ,当該行為に要した時間は,それが社会通念上必要と認められる限り,労基法上の労働時間に該当する。