未来創造弁護士法人

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【第13回SUC三谷会】

今回は、平成22年の最新判例研究。 平成10年から始めた判例研究も、これで最新のものに追いつきました。 次回からは法令改正の研究を始めます。

第13回SUC三谷会 (担当弁護士 滝島広子)

1 憲法1(東京高裁H22.3.10判決) 遺留分における「嫡出でない子」差別と憲法14条 被相続人が養子に全財産を相続させる旨の遺言をして死亡したため、被相続人の非嫡出子である相続人から遺留分減殺請求がなされた事案において、本件被相続 人は一度も婚姻をしたことがなく、本件遺言の受益者は養子であり婚姻関係から出生した嫡出子ではないことなどの事情を考慮すると、民法900条4号ただし 書を準用する同法1044条は、本件に適用する限りにおいて違憲であり効力を有しないとして、非嫡出子の遺留分について同法900条4号本文が準用された 事例。

2 憲法8(最高裁H22.3.15判決) インターネット上の表現についての名誉棄損罪の成否 インターネットの個人利用者による表現行為の場合においても、他の表現手段を利用した場合と同様に、行為者が摘示した事実を真実であると誤信したことにつ いて、確実な資料、根拠に照らして相当の理由があると認められるときに限り、名誉毀損罪は成立しないものと解するのが相当であって、より緩やかな要件で同 罪の成立を否定すべきではなく、根拠とした資料の中には一方的立場から作成されたにすぎないものもあることなどの事実関係の下においては、誤信について確 実な資料、根拠に照らして相当の理由があるとはいえない。

3 憲法9(最高裁H22.2.23判決) 市営と畜場の廃止と損失補償の要否 市営と畜場の廃止に当たり市が利用業者等に対してした支援金の支出が,国有財産法19条,24条2項の類推適用又は憲法29条3項に基づく損失補償金の支出として適法なものであるとはいえないとされた事例。

4 憲法10(①東京高裁H22.5.27判決、②福岡高裁H22.6.14判決) 生活保護老齢加算廃止訴訟控訴審判決 ①老齢加算の廃止等を内容とする生活保護基準の改定及びこれに基づいて給付を減額すること等を内容とする保護変更決定が生活保護法56条,8条2項及び9条並びに憲法25条等に反するものではなく適法とした第1審判決の判断が控訴審において是認された事例。 ②厚生労働大臣の定めた生活保護基準(昭和38年厚生省告示第158号)の改定により70歳以上で生活保護を受けている者に対する老齢加算が減額又は廃止 されたことに伴い,福祉事務所長が生活保護法25条2項に基づいてした保護費を減額する旨の保護変更決定が,違法とされた事例 。

5 民法1(最高裁H22.4.8判決) 退社した社員への出資額に応じた返還を定める医療法人の定款の解釈 医療法人の定款に当該法人の解散時にはその残余財産を払込出資額に応じて分配する旨の規定がある場合において、同定款中の退社した社員はその出資額に応じ て返還を請求することができる旨の規定は、出資した社員は、退社時に、当該法人に対し、同時点における当該法人の財産の評価額に、同時点における総出資額 中の当該社員の出資額が占める割合を乗じて算定される額の返還を請求することができることを規定したものと解すべきである。

6 民法2(最高裁H22.10.19判決) 被保全債権が複数の場合における詐害行為取消訴訟の訴訟物の個数 詐害行為取消訴訟において、取消債権者の被保全債権に係る主張が交換的に変更されたとしても、攻撃防御方法が変更されたにすぎず、訴えの交換的変更には当たらない。

7 民法3(最高裁H22.3.16) 特約に基づく弁済充当指定権を行使することができる時期 複数の債権の全部を消滅させるに足りない弁済を受けた証書貸付けの債権者が、当該貸付契約時に締結した充当指定権に関する弁済充当特約に基づき、弁済を受 けてから1年以上が経過した時期において初めて充当指定権を行使する旨を主張するに至った場合において、当該充当指定権の行使が、著しく法的安定性を害す るものとして認められなかった事例。

8 民法4(最高裁H22.10.14判決) 請負契約にもとづく代金の支払時期について注文書に記載された文言の解釈 数社を介在させて順次発注された工事の最終の受注者XとXに対する発注者Yとの間におけるYが請負代金の支払を受けた後にXに対して請負代金を支払う旨の 合意が,Xに対する請負代金の支払につき,Yが請負代金の支払を受けることを停止条件とする旨を定めたものとはいえず,Yが上記支払を受けた時点又はその 見込みがなくなった時点で支払期限が到来する旨を定めたものと解された事例。

9 民法5(最高裁H22.6.1判決) 売買契約目的物である土地の土壌にふっ素が含まれている場合の瑕疵担保責任 売買契約の目的物である土地の土壌に溶出量基準値及び含有量基準値のいずれをも超えるふっ素が含まれていたとしても、当該売買契約締結当時の取引観念上、 ふっ素が土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるとは認識されず、売買契約の当事者間においても、それが人の健康を損なう限 度を超えて本件土地の土壌に含まれていないことが予定されていたものとみることができない場合には、民法570条にいう瑕疵には当たらない。

10民法6(最高裁H22.4.20 判決) 継続的な金銭消費貸借取引における利息制限法1条1項にいう元本の額の意義 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合に おける利息制限法1条1項にいう「元本」の額は、各借入れの時点における従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額をいい、従前の借入金残元本の額は、 弁済金のうち制限超過部分があるときはこれを前記基本契約に基づく借入金債務の元本に充当して計算する。 継続的な金銭消費貸借取引に関する基本契約に基づいて金銭の借入れと弁済が繰り返され、同契約に基づく債務の弁済がその借入金全体に対して行われる場合に おいて、前記取引の過程におけるある借入れの時点で、従前の借入金残元本と新たな借入金との合計額が利息制限法1条1項所定の各区分における下限額を下回 るに至ったとしても、前記取引に適用される制限利率は変更されない。

11民法7(最高裁H22.1.26 判決) 入院患者に対して抑制具を使用するなどした行為と診療契約上の義務違反 夜間せん妄に対する処置として看護師が入院患者に対して抑制具(ミトン)を使って両上肢を拘束した場合において、当該抑制は当該患者の転倒、転落の危険を 防止するための最小限度のもので、拘束時間も短く、緊急やむをえず行った行為であり、診療契約上の義務に違反せず、不法行為法上違法ともいえない。

12民法8(最高裁H21.11.9判決) 民法704条後段の規定の趣旨 民法704条後段の規定は,悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず,悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない。

13民法9(最高裁H21.12.10判決) 生徒募集時にした説明の一部が変更され実施されなくなったことと不法行為 学校による生徒募集の際に説明・宣伝された教育内容や指導方法の一部が変更され、これが実行されなくなったことが、保護者の期待、信頼を損なう違法なものとして、在学契約上の債務不履行に当たるとまではいえないとされた事例。

14民法10(最高裁H22.3.25判決) 会社を退職した従業員による会社と同種の事業を営む行為と不法行為 金属工作機械部分品の製造等を業とするX会社を退職後の競業避止義務に関する特約等の定めなく退職した従業員において,別会社を事業主体として,X会社と同種の事業を営み,その取引先から継続的に仕事を受注した行為が,X会社に対する不法行為に当たらないとされた事例。

15民法11(最高裁H22.6.17判決) 新築建物買主による建物工事施工者らに対する損害賠償請求における居住利益等の控除の可否 購入した新築建物に構造耐力上の安全性にかかわる重大な瑕疵があり,倒壊の具体的なおそれがあるなど建物自体が社会経済的価値を有しない場合,買主から工事施工者等に対する建て替え費用相当額の損害賠償請求においてその居住利益を損害額から控除することはできない。

16民法12(①最高裁H22.9.13判決、②最高裁H22.10.15判決) 後遺障害を理由とした損害賠償における社会保険給付との損益相殺的調整 ① 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労働者災害補償保険法に基づく保険給付や公的年金制度に基づく年金給付を受けたときに,これらの各社会保険給付との間で損益相殺的な調整を行うべき損害。 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,不法行為の時から相当な時間が経過した後に現実化する損害をてん補するた めに労働者災害補償保険法に基づく保険給付や公的年金制度に基づく年金給付の支給がされ,又は支給されることが確定したときに,損益相殺的な調整に当たっ て,損害がてん補されたと評価すべき時期。 ② 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労働者災害補償保険法に基づく保険給付を受けたときに,この社会保険給付との間で損益相殺的な調整を行うべき損害。 被害者が,不法行為によって傷害を受け,その後に後遺障害が残った場合において,労働者災害補償保険法に基づく保険給付の支給がされ,又は支給されることが確定したときに,損益相殺的な調整に当たって,損害がてん補されたと評価すべき時期。

17民法13(①最高裁H22.4.8判決、②最高裁H22.4.13判決) プロバイダ責任制限法が定める「特定電気通信役務提供者」の意義とその責任 ① 最終的に不特定の者に受信されることを目的として特定電気通信設備の記録媒体に情報を記録するためにする発信者とコンテンツプロバイダとの間の通信を 媒介する経由プロバイダは、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律2条3号にいう「特定電気通信役務提供者」に該 当する。 ② 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律4条1項に基づく発信者情報の開示に応じなかった開示関係役務提供者 は、当該開示請求が同項各号所定の要件のいずれにも該当することを認識し、又は上記要件のいずれにも該当することが一見明白であり、その旨認識することが できなかったことにつき重大な過失がある場合にのみ、損害賠償責任を負う。 インターネット掲示板になされた書き込みが、侮辱的表現を一語含むとはいえ、書き込みの文言それ自体から、社会通念上許される限度を超える侮辱行為である ことが一見明白であるとは言えず、書き込みをした者にインターネット接続サービスを提供したプロバイダが裁判外の発信者情報の開示請求に応じなかったこと について、重大な過失があったということはできないとされた事例。

18民訴1(最高裁H21.12.18判決) 遺留分減殺請求を受けた受遺者による弁償すべき額の確定を求める訴えの利益 遺留分権利者から遺留分減殺請求を受けた受遺者が,民法1041条所定の価額を弁償する旨の意思表示をしたが,遺留分権利者から目的物の現物返還請求も価 額弁償請求もされていない場合において,弁償すべき額につき当事者間に争いがあり,受遺者が判決によってこれが確定されたときは速やかに支払う意思がある 旨を表明して,弁償すべき額の確定を求める訴えを提起したときは,受遺者においておよそ価額を弁償する能力を有しないなどの特段の事情がない限り,上記訴 えには確認の利益がある。

19民訴6(最高裁H22.6.29判決) 権利能力なき社団に対する債務名義に基づく強制執行の方法 権利能力のない社団を債務者とする金銭債権を表示した債務名義を有する債権者が、当該社団の構成員全員に総有的に帰属する不動産に対して強制執行をしよう とする場合において、前記不動産につき、当該社団のために第三者がその登記名義人とされているときは、前記債権者は、前記債務名義につき、前記登記名義人 を債務者として前記不動産を執行対象財産とする執行文の付与を求めることはできない。 前記債権者は、強制執行の申立書に、当該社団を債務者とする執行文の付与された前記債務名義の正本のほか、前記不動産が当該社団の構成員全員の総有に属す ることを確認する旨の前記債権者と当該社団及び前記登記名義人との間の確定判決その他これに準ずる文書を添付して、当該社団を債務者とする強制執行の申立 てをすべきである。