設問6 (6月25日検討予定)
1
以下の各事例において、XはYに対して、登記なくして時効による土地所有権の取得を主張できるか。判例の考え方を紹介した上で、これと異なる学説と比較しなさい。
(1) Xは、Yの土地を、1997年、善意無過失で占有を開始した。
(2) Xは、Aの土地を、1997年、善意無過失で占有を開始した。
Aは2000年に、本件土地をYに譲渡した。
(3) Xは、Bの土地を、1997年、善意無過失で占有を開始した。
2007年に時効が完成したが、Xが登記をしないでいるうちに、2009年、Bはこの土地をYに譲渡した。
(4) 上記(3)の事例で、Xは、占有開始時期は2000年であると占有開始時期をずらして主張し、2010年に時効が完成したと主張することができるか。
(5) Xは、Cの土地を1987年に、善意無過失で占有を開始し、1997年に取得時効が完成した。しかし、Xが登記をしないでいる内に、1999年、Cはこの土地をYに譲渡し、Yが登記を取得した。しかし、その後も、Xは、本件土地を善意無過失で占有し続けた結果、2009年には、Yが登記をしてから10年が経過した。
2
Xは、1964年からAの土地を自主占有していた。
1985年にAは、本件土地にYのための抵当権を設定して、その旨の抵当権登記をした。その後、XはAに対して20年の占有を理由とする取得時効を援用し、これが認められて2001年に時効取得を原因とする移転登記をした。さらにXは、今度はYに対して、1985年から10年間占有したことを理由に取得時効を援用し、Yの抵当権登記の抹消を求めた。Xのこの請求は認められるか。
【ヒント】
最判平成15年10月31日 判時1846-7