「キッドナップ・ツアー」 角田光代 (新潮文庫) ★★★
直木賞作家角田光代。たぶん初めて読みました。
(たぶん)母親と別居中の父親が、自分の娘を誘拐して、あちこち連れ回すという夏休みを過ごすうちに、父と娘との間に親子の信頼関係が芽生えるという何とも不思議な設定。
父親は、誘拐している間に何度も母親と条件交渉を行い、最後は交渉が妥結して、娘を母親の元に解放する。その条件とは何なのか、娘は父親にも母親にも尋ねるが、教えてもらえない。
そして、読者も最後まで教えてもらえない。あとは自分で想像してね的な終わり方は、小説にありがちだが、どうも奥歯に物が挟まっているようで、私は好きになれない。最後まで教えてよ、角田さん。